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消費者法の本が出ました!
どうも、大変、お久しぶりでございます。
・・・・2月以来!ちょっとさぼりすぎでしょ!
なるほど、紙の本を書いてたから、このブログの更新がなかったんだね。
そうなんです、先に言わないでください、更新が滞っている言い訳を・・・
この1年間くらい、がんばって本を書いてたんです!
といっても単著ではなくて、尊敬してやまない、坂東俊矢先生と髙嶌英弘先生との共著です。
出版社の書籍紹介ページは、こちらです。
外部リンク:現代人文社ウェブサイト「消費者は弱くてもろい、だからこそ強くなれる」
ほうほう、きょうはその宣伝というわけか。
それで、どんな本なんだ?
こんな人に読んでほしい
まず、読んでいただきたい方ですが、これは、すべての人、です。
生活している限り、消費者でない人はいないからですね。
むずかしくないの?
法律のことばっかり書いてあると、いやなんだけど。
はい、むずかしくありません。
それに、すこし難しい言葉が出てきた場合でも、用語解説があります。
これだけでも、けっこう役に立つと思いますよ。
「気をつけましょう」だけではない
ふーん。
あのさあ、消費者問題についての本ということは、「こういう被害がはやっているから、気をつけましょう」「買い物をするときは、慎重に選びましょう」「被害にあったらすぐに相談しよう」とか、そういうノウハウが書いてある本なのか?
それだったら、正直、よくある本だから間に合ってるぞ?
これは・・・なかなか手厳しいですね。
もちろん、いま、どんな消費者問題があるか、については、弁護士や消費者相談の最前線にいる消費者団体の立場から紹介していますが、この本は、「気をつけよう」「急いで相談しよう」では終わっていません。
このブログでもしばしば紹介していますが、消費者問題の本質は、単に「気をつけよう」「相談しよう」で防げない、そして解決できない構造的な問題です。なぜ、「気をつけよう」「相談しよう」では防げないのか、そしてこれを解決するためには、どうすればよいのか、ということを弁護士、消費者団体、そして学者の3つの立場から、いろいろと明らかにしようと試みているのです。
このへんは、ぜひ本を読んでくださいね。
本の構成はこんな感じです。
目次と前書き(坂東俊也先生)は、出版社のウェブサイトの「ためし読み」で見ることができますので、そちらをみてくださいね。
外部リンク:現代人文社ウェブサイト「ためし読み」
まず、第1章では、消費者法と消費者問題の最新の状況、昔と比べて何が違うのか、ということを対談形式で紹介しています。
第2章では、消費者法の基本的な知識を解説した後、3つの消費者問題を解くのにチャレンジしてもらいます。オーディション商法、デジタル・プラットフォームの問題、投資被害の問題です。
あっ・・・その3つは、このブログでもたくさん取り上げられていた問題だね。
そうですね。とても現代的な問題で、うまくできています。どれも「慎重に検討しよう」では防げない問題なのです。
第3章は、消費者法の未来について、3人で議論しています。
たしかに、消費者問題の解決の道は、厳しくなっています。
消費者問題をめぐる法律や決済手段は複雑化し、裁判所ですらその実態を理解することが困難になっています。また、事業者は、プレイヤー間で幾重にも役割分担をし、責任追及が難しくなっています。その典型がデジタル・プラットフォームです。そして、悪質な業者はさらに財産や身元を隠し、訴訟をしたくてもできない、というケースすら出てきています。これらを乗り超えて勝訴判決を得たとしても、これを実現することは容易ではありません。分業、複雑化、追及困難、この3つの要素があるのです。
消費者は、どうしても負けてしまう、弱くてもろい存在なのです。
ふむふむ。しかし、なんだか・・・暗い話が多いんだな・・・
それだと、希望がない・・・みたいな話にならないのか?
もちろん、希望はあります。それは「教育」です。
消費者教育推進法2条2項は「個々の消費者の特性及び消費生活の多様性を相互に尊重しつつ、自らの消費生活に関する行動が現在及び将来の世代にわたって内外の社会経済情勢及び地球環境に影響を及ぼし得るものであることを自覚して、公正かつ持続可能な社会の形成に積極的に参画する」社会を「消費者市民社会」と呼んでいます。
たしかに厳しい道です。消費者は、もろくて弱く、ときには負け続けることもあるでしょう。でも、私たちは、一人ひとりの行動が「将来の世代」に影響を及ぼすことを考えて、あきらめずに-絶望せずに-、粘り強く選択を続けていく義務があるのです。
それが、消費者法の未来なのです。
消費者問題に興味のあるすべての人へのこんなメッセージを届けたいと思います。
書店で、ぜひ、手にとってみてくださいね。