外貨建て保険(銀行窓販問題)

(けいざい+)外貨建て保険:1 説明難解「聞くのは拷問やで」

https://digital.asahi.com/articles/DA3S14466665.html 朝日新聞デジタル 2020.4.26.

今、生命保険の勧誘をめぐる様々な問題がもちあがっています。

ひとつは、かんぽ生命の不当な勧誘をめぐる問題です。

そして、もう一つの「外貨建て保険」について、興味深い連載がはじまりましたので、注目したいと思います。なお、朝日新聞の紙面にも掲載されていましたが、デジタル版のリンクを掲げておきます。

外貨建て保険とは、保険料の払込みや保険金の支払いまで、すべて外貨で行われる生命保険のことです。

そんなのがあるんですね。
そうそう、生命保険といえば、最近は、かんぽ生命が問題になっていましたよね?Covid-19の件があって、このところ、どうなったか全然報道されていないですけど・・・

もちろん、かんぽ生命の問題も未解決です。詳しくは、かんぽ生命被害対策京都弁護団(住田が事務局長を務めています。)のWebサイトを見てくださいね。
外部リンク:かんぽ生命被害対策京都弁護団

かんぽ生命の問題とは別に、実は、外貨建て保険の問題もここ4〜5年増えているのです。

国民生活センターは、2017年12月に外貨建て保険の銀行窓販の問題があること指摘しています。

外部リンク:国民生活センター「保険商品の銀行窓口販売の全面解禁から10年を迎えて-新たに外貨建て保険のトラブルも-」

そして、その後も相談件数は増え続けています。

国民生活センターによると、相談件数は、
・2017年度は378件(70歳以上187件)、平均購入金額は1059万円
・2018年度は538件(70歳以上272件)、平均購入金額は888万円
・2019年度は483件(70歳以上243件)、平均購入金額は957万円
(*2019年度は2020年1月時点の数字)

外部リンク:国民生活センター「外貨建て生命保険の相談が増加しています!」

70歳以上の高齢者が半分以上なのが特徴的だ。金額も大きいね。うちの両親も大丈夫かな・・・

では、外貨建て保険の問題について考えていきますね。

ひとことで言うと、銀行が売っていることに起因する問題が多いのです。

ちょっとよくわからないのですが、まず、なんで、銀行が保険を売ってるの?保険会社や保険代理店で契約するものと思ってたけど・・・

「銀行窓販」といって、銀行で保険を売ることが2007年12月に全面解禁されたんだよ。それまでも一部は売ることができていたんだけどね。

みなさん、生命保険会社には縁遠くても、銀行なら身近な存在ですよね。

特にお年寄りは、銀行や郵便局(ゆうちょ銀行)をとても信頼しています。
まず、銀行窓販は、とくにお年寄りから「信頼できる」と思われているということ、これが1つめのポイントです。

確かに、ぼくなどは、ビジネスをしているから、銀行について「雨の日には傘を貸してくれない」とドライな印象を持っているけど、一定の世代以上は、銀行というものに絶大な信頼を寄せているよなあ。

ふーん。まあ、確かに信頼はしているけど。
それでも、商品さえ良ければ、いいんじゃない?例えば、銀行にも、外貨預金ってありますよね。外貨の生命保険っていうのも、あっていいんじゃないかな?なにが問題なんだろうか。

KONさん、いいところに気がつきましたね。そうです。まさに、「外貨預金」があるからこそ、まぎらわしく、問題なんです。

ん?どういうことだ?

売っているのが銀行なので、本来、単純に比較できないはずの預金と比較して、「元本保証」で「高利率」だと誤認してしまうケースが多いのです。これが2つ目のポイントです。

「積立利率」について

少し、具体的にみていきましょう。

例えば、「積立利率」という言葉があります。

外貨建ての終身保険、どれでもいいのですが、銀行からもらったパンフレットをみてください。この積立利率変動型の保険は「積立利率年3%を最低保証」と書いてありますね。

3パーセント?ゼロ金利時代に、それはすごい。いますぐ買いたいです!

いやいや、ちょっと待ってください。年3パーセントずつ、あなたが払い込んだお金が増えていくのではないですよ?

あなたが払い込んだ保険料は、大きく分けて「純保険料」と「付加保険料」に分類されます。「付加保険料」は、契約の締結・維持(これは例えば、死亡や高度障害保障のために必要な費用も含まれます。)のための経費部分であり、実際に、積立金として将来の保険金などの支払いのため積み立てられるのは「純保険料」の部分なのです。

それなら、そもそも、預金と単純に比較できないことになるよな。銀行の窓口では、わざとこれを混同させてるのかな?

必ずしもそうとは限りませんが、誤認しているかもしれないお客さんに対して、きちんと説明をしないでそのままにしている担当者もいるかもしれませんね。

そのほかにも、「為替リスク」があります。これは外貨/円の為替レートの変動リスクのことですね。外貨建で元手が増えても、保険金受取時の外貨/円の為替レートが外貨安(円高)に動けば、結局損をすることになります。


外貨ベースでの死亡保険金の最低額保証をうたう商品もありますが、これを「元本保証」と受け取ってしまう消費者もいることでしょう。

また、資金需要が生じやむを得ず解約するときにも多額の手数料が必要になります。

銀行がもらう手数料

さて、銀行はなぜこのような外貨建て保険の窓販を推進しているのでしょうか。特に地銀が多いようですね。

最近、特に地銀の経営がよく厳しいと聞くから、それが影響してるのかもね。

そうですね、それも一因となっているでしょう。

銀行は、外貨建て保険を販売すると、「仕入先」の生命保険会社から、成約した保険料に応じた販売手数料がもらえます。開示された手数料では、7パーセントを超える手数料が支払われているものもあるということです。

今日のところはこれまで。とにかく、この朝日新聞の連載は楽しみだね。
外貨建て保険については、また記事を書きます。


著者

住田 浩史

弁護士 / 2004年弁護士登録 / 京都弁護士会所属 / 京都大学法科大学院客員教授(消費者法)/ 御池総合法律事務所パートナー

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